サンタマリア門と ブルゴス大聖堂(スペイン)

 

サンタマリア門と
ブルゴス大聖堂院

〈スペイン〉

 

 

ブルゴスはアルランソン川添いにある街で中世世代の栄えた城下町です。かつてはレオン国王の領地でした。フェルナンド1世(1017年 – 1065年)の時代に発展。彼もカスティーリャ伯からカスティーリャ王、レオン王となり「全ヒスパニアの皇帝」または大王として名を馳せました。現在ではバスク地方とカスティーリャ地方を結ぶ交通の要所で、世界遺産で有名なだけでなく、農業・工業が盛んな地としても有名です。

 

|サンタマリア門

さて、ウエルガス修道院を出たバスに乗り、ブルゴスの旧市街地を抜け、橋を渡って見えてくる白亜の建物がサンタマリア門です。

どっしりとした迫力がある建造物です。

15世紀に造られた12の門のうち残った5つの門のひとつがサンタマリア門。16世紀、スペイン王カルロス1世を迎える凱旋門として改築されたものです。城壁の上段に聖母子像、中断の中央にカルロス1世、右に英雄エル・シッド(※)の姿がありました。

(※)英雄エル・シッド:前回の記事にも書きましたが、ロドリーゴ・ディアス・デ・ビバール、通称エル・シッドは、11世紀後半のレコンキスタで活躍したカスティーリャ王国の貴族。何度も国を追放されながらもスペインを守った英雄です。

 

|サンタ・マリア・デ・ブルゴス大聖堂

門をくぐると目の前に大聖堂が現れます。これがブルゴス大聖堂です。

正式名称はサンタ・マリア・デ・ブルゴス大聖堂。
カスティーリャ王フェルナンド3世の命により建設された大聖堂で、1221年に磁石が置かれ、完成には500年もの歳月が費やされたそうです。

建物の交差部分上部のランタン尖塔の交差部分の頭上には繊細なすかし細工の星形ヴォールトがあるなど特徴的な建築も見られます。

ゴシック様式の教会で、キリストや12人の使徒が並ぶ「ポルタダ・デ・ラ・コロネリア」が有名です。

当日はミサが行われており、観光も内部の撮影もできなかったのですが、ミサに少しだけ参加させていただくという幸運がありました。

この時にいただいたミサで配られるパンフレットはこちらです。

この巡礼の旅が充実したものになることをお祈りし、大聖堂を後にしました。

サンタ・マリア・デ・ラス・ ウエルガス王立修道院 (スペイン)

 

サンタ・マリア・デ・ラス・
ウエルガス王立修道院

〈スペイン〉

 

2015年に訪れたスペインとポルトガル、聖地巡礼の旅のお話をしたいと思います。

 

|旅の始まり

私はいつも、旅は癒しであり、パワー源であると言っています。
しかし、この時は2年ほど、プライベートの旅はご無沙汰しておりました。

「このままではいけない、年に1度は解放の旅に出なくては」と、友人と2人でヨーロッパを周る巡礼の旅を計画。折しもその頃はイスラム国が国際問題となっており、そして出発前はパリでのテロ。周囲の人からは危険だからと言われましたが、私はきっと大丈夫という確信があり、予定通り空港へ向かいました。

この時の巡礼の順路は、フランスからマドリッドへ渡り、スペイン北部をいく「サンティアゴ・デ・コンポステーラの巡礼路」。今でも年間およそ10万人が訪れると言われています。

 

|エールフランスでパリを経由してマドリッドへ

パリのトランジットに4時間かかると言われ、長すぎると思いましたが、厳重警戒のためトランジット手続きに時間がかかり、4時間もあっという間。飛行機を乗り継いでマドリッドへ到着。

クラウンプラザホテルで早々にベッドに入りました。

翌朝、目覚めてホテルで朝食を食べているうちに徐々に旅気分が盛り上ってきました。

添乗員を含め、12名で大型バスに乗り込み、スペイン巡礼のツアースタートです。

聖ヤコブ(スペイン語でサンティアゴ)の遺骸があるとされ、ローマ、エルサレムと並んでキリスト教の三大巡礼地に数えられている「サンティアゴ・デ・コンポステーラ」を目指します

 

|サンタ・マリア・デ・ラス・ウエルガス王立修道院

まずはブルゴスに向かったのですが、大聖堂がミサを行っていたため、ウエルガス修道院へ。

実はこの修道院、シトー派の初期に作られた由緒ある修道院、ぜひとも訪れたかった場所なのです。

修道院の正式名称はサンタ・マリア・デ・ラス・ウエルガス王立修道院。カトリック・シトー会の修道院です。シトー会とはフランスのシトーに設立されたシトー修道院がはじまりです。その頃は華美な修道服を着用する派もあったのですが、シトー会は染料を用いない質素な白い修道服を着たことから、「白い修道士」とも呼ばれます。労働と学習を重んじ、自ら農具をとり農民らを指導して、開墾や新農法の普及を行いました。

ウエルガス修道院はカスティーリャ王アルフォンソ8世と王妃レオノールによって1180年に設立され、現在では29名の修道女が働いています。
長い歴史の中で、次々と居室を付け足してきたウエルガス修道院はロマネスク、ムデハル、ゴシックと様々な建築様式を楽しめます。

私たちは最初に王室の墓所である教会の主身廊に入りました。礼拝堂も複数あり、どれも厳粛な雰囲気が漂っています。気持ちが静まっていくのを感じました。
続いてロマネスク様式の回廊へ。

この回廊は本当に美しかったです!

クラシカルな回廊はしんとした静謐な空気が漂い、どこかミステリアスな雰囲気を感じました。その後はモスク風の礼拝堂、サンチャゴの礼拝堂、博物館を周って外へ。広大な修道院でした。

この日はルイスさんというガイドの方が歴史の説明をしてくださったのですが、印象的だったのはエル・シッドの話。

ロドリーゴ・ディアス・デ・ビバール、通称エル・シッドは、11世紀後半のレコンキスタで活躍したカスティーリャ王国の貴族。何度も国を追放されながらもスペインを守った英雄です。イスラム教徒からバレンシアガを征服した話が有名です。多くの兵士が彼を慕ったんだと話すルイスさんの声には熱がこもっており、彼がスペインの英雄であることをひしひしと感じました。ウエルガス修道院では聖母子像や天使の像に交えてエル・シッドの像も飾られています。

城壁に飾られたエル・シッドを探しながら、改めて歴史に思いを馳せました。かなり歩き回ったのですが、疲れを忘れるほど感銘をうけた修道院でした。