牡牛座

夜空に浮かぶ牡牛座は、一等星のアルデバランの他二等星の星も二つあり、とても見つけやすい星座です。
日本では「昴」とも呼ばれるプレアデス星団の他、他にも幻想的で美しい星団が含まれています。美的感覚に優れた牡牛座らしい星座と言えるかもしれません。
こうして牡牛座を研究してくると、彼らにとって大切なテーマは安定と保有であることが見えてきます。
牡牛座の人は身の回りを美しいもので囲み、愛する人たちと交流し、芸術や美食を嗜むことを喜びとします。そのためには愛する人や、贅沢を楽しむためのお金を保有する必用があります。 大切なものを失いたくないから、用心深くなります。

彼らにとって自分の保有物が常に手の中にある「安定」した状態であるということはとても重要なことなのです。
辛抱強さが穏やかな性格を生み、親切な人が多いのも牡牛座の美点です。
冒険には消極的ですが、自分が目指す幸福に向けて、人生を開拓していく大きなパワーを持った星座です。

用心深さと粘り強さが牡牛座の性質

牡牛座のギリシャ神話は、大神ゼウスの恋物語の中でも有名な話のひとつに数えられます。
フェニキア王の娘、エウロペの美しさに魅入られたゼウスは白牛に変身し、恋した女性の前に現れます。
最初は大きな白牛に用心していたエウロペでしたが、触ってみても、花を頭に飾っても大人しくしているので、安心して徐々に大胆になっていきます。思い切って白牛にまたがってみたとたん、凄まじい勢いで白牛が走り出します。白牛は野山を越え、海の上をひた走り、クレタ島に辿りつき、ゼウスに戻ります。その後、2人は結婚し、三人の子どもが生まれたという物語です。


この神話は牡牛座の特徴がよく現れています。

エウロペの白牛に興味を持っているのに、警戒してじっと様子を見る用心深さ、また恋した女性が警戒を解くまで大人しくしていたゼウスの粘り強さ、どちらも牡牛座の性質と言ってよいでしょう。


牡牛座の人は感覚的だと言われます。

その感覚とは五感のこと。触れる、見る、味わう、香る、聞くことで世界を確認しようとします。
自分の目で見なくては信じない、と語る現実主義者の方がいますが、牡牛座の人の感覚はそれと近いものがあります。
どんなに熱心に理想を語られても、なかなか懐疑の気持ちを解きません。
彼らは自分の五感で確認できるものを最も信頼するので、どんなに熱く語られても心が動かないのです。

エウロペも、まず触って白牛が安全か確認しています。想像で判断しないから、ひとつひとつ自分で確認するまで慎重さを解かない。
この性質から牡牛座の我慢強さ、用心深さが見えてきます。
また、感覚は研ぎ澄ますと快感に繋がります。肌触りのよいもの、見ているだけで感動できる芸術品、美食、かぐわかしい香り、美しい音楽、そういったものを愛するのが牡牛座の特徴です。実はかなりのグルメ、芸術通といった牡牛座は多いでしょう。
肉体的快楽に弱いので、ついつい食べ過ぎたり、ボディタッチに反応しやすい性質も持っています。愛の言葉を語られるより、抱きしめられたいと願うのです。そういう意味で、牡牛座は肉体的快楽に弱いとも言われます。


占星術では牡牛座の支配星は金星。

金星は美、愛、そしてお金を表す天体です。牡牛座は美しいものを愛し、そしてそれを自分の物にしたいと願います。
ただし、物欲は強いですが、慎重なので無茶な買い物はしません。欲しい高級バッグのために貯金をした経験のある牡牛座の人もいるのではないでしょうか。牡牛座の人は手に入れると満足という性質ではありません。所有したものを守りたい、という思いが強いので人やもの、手に入れたものは大切にします。

そしてその意識はお金にも向かいます。
自分の所有するお金を守るという意識が強いからこそ、牡牛座は貯蓄の才能を持つ人が多いのでしょう。
恋愛では、自分の抱いた愛が確かなものがどうか、時間をかけて確認しようとします。そのため、恋心が芽生えても実際に行動に出るまで時間がかかります。この自分が満足するまで、確かめたいという本能が牡牛座の人をマイペースにするのかもしれません。また愛する人を所有しようと、束縛心が強くなる傾向もあります。その代わり、細かな「確認作業」を終えた後は、強い愛を注いでくれるでしょう。愛する人には忠実で献身的。そしてその愛は長く続きます。良妻賢母また、よき夫になる素質がとても高い星座です。
しかし、憎しみも長続きするので、一度恨みを買うと怖いところもあります。


地のエレメントの牡牛座は現実主義で保守的。

占星術では各星座はその特質から火、地、風、水の4種類のエレメントと、活動宮、不動宮、柔軟宮の3種類のサインにわけられます。
牡牛座は地のエレメントで不動宮のサイン。地のエレメントの特徴は現実的。感覚を大切にし、保守的です。
これは牡牛座の特徴そのものです。だからといって牡牛座の人は現実にしか意識が向かず、夢がまったくないというわけではありません。他の人と同じように彼らも壮大な夢を抱きます。ただ、その夢を実現しようと足を踏み出すときに、現実主義の面が出てくるのです。夢を糧に貧乏でも生きてく、という計画性のない無鉄砲な生き方は牡牛座の理想とは異なります。芸術を理解しても芸術家ではなく、コレクターとしてその才能を発揮する人が多いのも牡牛座ならではの特性でしょう。

また不動宮の性質を持つことで、牡牛座の人は変化することをあまり望みません。時間をかけて方針を決めると、困難にぶつかっても、粘り強くその壁を乗り越えようと努力するのです。報酬という結果が見える仕事では、特にその傾向が強く、どの職種についても、時間をかけて結果を出し、それなりの評価を残すことができるでしょう。
対人面でも、一定のグループにいることを望み、心地よい環境を作るために周囲の人に親切に接し、心からの愛情を向けてくれます。


神官
次は、タロットで牡牛座を見てみましょう。牡牛座に紐づけられるタロットカードは「神官」です。
「神官」は俗なるものを超越した存在です。ステラタロットでの「神官」は左手に杖を持っています。
この杖にはアカシックレコード(前世から来世まですべての記録が収められている)が刻まれ、人が正しく進む道を指し示してくれます。 悩める人の話を優しく聞き、未来へと導いてくれる先生。そんなイメージがしっくりくるカードです。
このカードは牡牛座の理想の姿を示しているのかもしれません。

物欲や束縛欲を捨て、芸術や人へ純粋な愛情を向ける、頑固にならずに人の意見を受け入れる、また知恵を惜しみなく人に与える。 「神官」のような人を目指すことで、より豊かな人脈を得ることができ、実りある人生を送ることができるでしょう。